今朝、まだオープン準備中の私の店にふらっと入って来た、深々と帽子をかぶった女性。
半分かくれているが、すごい美人であるのはすぐに見て取れた。
「コロナ下さい。」彼女は言った。
コロナを出す。そして、オープン前の慌ただしさにもどった。
彼女は一人カウンターに腰掛け、ビールを飲んでいた。一見で少し様子がおかしい、というのは感じた。
店の準備が一段落して、彼女に面と向いた。
彼女が口を開く。
「私、あかちゃんいるのね」
「うん‥‥」
「私は精神病院に入院してて…」
「ああ、そうなんだ」
「あかちゃんは、福祉施設に預けられてて、今から面会に行くの。」
「本当に!よかったね、あかちゃんに会っておいで!」
「手に触って」彼女は唐突にそういうと手を差し出した。
「いいよ」といって、彼女の差し出したてに触れた。
すごく温かく気のこもった手のひらだった。
あれだけの気を方向も定まらずに発散していたら、彼女自身を保てなくなるのだろう。
今頃、我が子を手に抱いているだろうか。
あの様子であれば、彼女の退院はまだ先だろうが、あのあふれる彼女の温かさが、方向を決め彼女の赤ん坊に向いたら、素敵だろうに。
今朝の出来事でした。
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